介護ビジネスの需要は高齢化が進む日本社会では、年々増加しているが、現場の慢性的な人材不足は深刻な問題となっている。以前は介護職といえば重労働の割には賃金が安いということで有名だった。しかし、近年では多くの企業で働きやすい職場づくりに取り組み、少しでも現場の介護スタッフの負担が軽減するような動きが見られている。また、介護業界には明確なキャリアアップシステムがあり、キャリアを積めば賃金が上がったり、役職に就けるなどの待遇も期待できる。どのような業界でも新人の賃金が安いのは当然のことなので、介護業界もしっかりと努力をすることで賃金アップを目指せる環境が整ってきたと言えるだろう。

それでは、介護の現場が未だに慢性的な人材不足に苦労しているのはなぜだろうか。まず、初めに考えられることは、多くの女性が活躍する介護の現場では、結婚や出産、子育てを機に退職する人が多いということが挙げられる。介護業界でも退職した女性が職場復帰をしやすいように、正社員の時短制度の導入も行われているが、ブランクを気にして他業界に流れてしまう人が少なくない。また、女性が多い職場では、スタッフ同士の人間関係も問題になる場合があるようだ。

介護の仕事はスタッフ同士の連携が重要になってくるため、人間関係の悪化は致命的だ。各企業は待遇面など労働環境の改善はもちろん、多くの女性スタッフをしっかりとまとめることができる現場責任者の育成にも力を入れる必要があるだろう。